2007年11月17日

セドナ。それは「再生」への旅。<06>5

巫音子です。続きますね。


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 最初、付近を散歩する登山者の声かと思って、特に気にもしていなかった。だが、それにしてはボリュームが小さいし、その声は左の耳からしか聴こえてこないのだ。
 何だろう? 
 不思議に思って体を起こすと音は聞こえなくなる。あれ?と思って、腰を沈めて岩肌に元のようにもたれると、またその声は復活する。相変わらず左耳からしかそれは聞こえないのだが、鳥の鳴き声は両耳でちゃんと聞こえているので、耳が変になったわけでもなさそうだ。
 ひょっとすると、何かのテレパシーか、メッセージかもしれない・・・と、息をひそめ集中して、聴き入ってみる。
 声は、話し声では無く、とある低いメロディだった。それは何か静かな歌をゆっくりと、似たフレーズを何度も繰り返す調子で、低く、やわらかく、歌っていた。とても優しいけれど、静かな、心強さで。なつかしいなぁ、と顔をくしゃくしゃにしたくなる感覚に襲われる。
 何だろう? 
 思いをめぐらすと似たような記憶が。そうだ! 
 これは、子守歌じゃないか!!
 私がずいぶん小さいときに、父が歌ってくれた韓国の古い民謡に、なんとなくだけれど似ていた。私の左耳で鳴っているのは、男の人と思われる、低く優しいトーンの語りかけるような歌声だった。そう思った途端、今度は私の右目だけから涙がふた筋、三角座りの膝元へとまっすぐにこぼれ落ちた。瞬間、謎がはっきりと解ける。
 左から、入り、右から、出る。
 これは、エネルギーの基本サイクルだ!


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 この図式は私にとってとてもシンプルだった。なぜなら、人の身体は左半分が陰(−)、右半分が陽(+)で出来ている、ということを、数ヶ月前あるヒーラーに師事し学んだばかりだったからだ。水晶を使ってヒーリングするときなど、体に力を呼び込むときは石を左手に握り(=取り入れる)、体の毒を出すときは右手に握ったり(=吐き出す)する。日本に古く伝わる陰陽道の考え方や、中国の気功のそれも基本理念は同じだ。気は、陰から陽へ、そして陽から陰へと巡り、流れていく。万物の流れもそれに従う。つまり、私は左耳(−)でこの歌を受け取ったことで、右目(+)から涙として何かを押し出した=浄化したのだ。
 何か分からないけれど、ここに導かれてきたことを心の底から強く感じ、だからこそ、この場所を見つけたときに私の心が激しく喜んだことを理解した。
 Prayer(祈り)。
 私がここで意識したのはこの言葉だ。
 納得して、その祠(ほこら)のような場所を出ると、ヨーコちゃんが離れたところに背を向けて座り、登ってきたのと逆側に広がる風景をのんびりと眺めていた。彼女の小柄な背中を見たときに、
 「She is your Guide, you know.(知ってるだろ、彼女はあなたのガイドだ。)」
 という声が聴こえた気がした。そう、彼女と一緒にいなければ、私はこんな高いところまで到底歩んでこれなかった。途中でリタイヤして、普通に下界のマッサージやクリスタルの物色に力を注いでいたに違いないのだ。それを思うとまた泣きそうになったけれど、ヨーコちゃんは普通に、
 「ミネコ、大丈夫? もっと奥に行ってみようか。」
 と提案しただけだった。
 I can say that again and again.
 She is my guide for this journey.
 (何度だって言える。彼女はこの旅における私のガイドだ。)
起こることすべてには意味があり、それらはたいていが何かしら、繋がっている。



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この記事へのコメント

1. Posted by わんぐ   2007年11月17日 14:37
5 ;;続き楽しみにしてます。。。
2. Posted by aqua   2007年11月19日 03:43
すごいですねー物語のような
エッセーのような、ひきこまれます。
ちゃんと書いてきたのですか。
わくわくしながら読んでます!

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